』(バッテン)の傷を付けて、収穫しないメロンがあります。

寺坂祐一です。

収穫前に、私(社長)はメロンハウス内を一回りして、「おっとこれは…」と感じるメロンに収穫ハサミの先端で「×」の傷を付ける。

収穫スタッフが誤って採ってしまい、選果場に流れ全国発送されていくメロンに”混入防止の為”の、目印なのです。

だからといって、このバッテンメロン。平均的に糖度もあって、十分美味しく食べられるメロンであったりする。

特に今年は天候に恵まれて、28年間のメロン栽培歴の中でも一番の出来だから、まず…大丈夫だと思われる。見た目も問題ない。

しかし、私はメロンにの傷を付けることに躊躇しません。

それは、寺坂農園が育てる富良野メロンのブランド価値、それだけに留まらず、メロン産地として富良野メロンブランド全体の評価・評判が高まっていくことを願っているからです。

では、なぜ?このメロン4玉に傷を付けるのか。
それは、品質不十分なメロンスタッフが判断できずに、普通に収穫して混入し、間違えてお客様に届いてしまうのを防ぐため、です。

畑でメロンに印がついていたら、
「おっ、これは社長が怪しいと思ったメロンだ。収穫しないヤツだ」と、スタッフが判断できます。

もし万が一、収穫作業の流れで混入してしまっても、選果場でこのバッテン印を発見し、混入を防止することができます。

メロン畑で運営しているメロン直売所に、誤って並んでしまうこともありません。

よーく見てください。この4玉が成っているメロンの樹。葉が萎れたままで、葉色もうすく黄緑色に。

この写真は朝の6時頃に撮影しているのですが、写真3枚目をよく見て。

萎れたメロンの両隣の株は、葉色も濃く、光合成をしようと葉を上に向け、最後の力を全力で振り絞り、メロンの果実に同化養分を送り込んでいるのを感じられる。

しかし、真ん中の1株2本のツル。4玉のメロンが成っている樹は、萎れたままで起き上がる気配もない。

そう、最後の子育てである糖度上昇期に、とうとう精根尽き果てしまったのである…orz

これを『萎れ症』とか『バッタン病』とか『萎凋症状』とか、言います。

理由は色々ある。
・成長したメロンの”個体差”。
・接ぎ木が浅かった。
・整枝作業で強剪定をした。
・株元につる枯れ病にやられた。
・土作りが甘い
・連作障害
・過湿、地下水位が高い
などなど…。

酷いときには、メロンハウス半分とか、酷い時は全体がこのように萎れてしまい、おいしさ甘さ風味がイマイチなメロンになってしまうんです。

私もまだメロン栽培技術が未熟な頃、この『萎凋症状』が多発して、胃に穴が空きそうになったこともしばしば…。

メロンが子孫を残そうと全力投球しているときに、収穫数日前でメロンがダメになっちゃう。

萎れ症で品質不十分なメロンは、加工原料として手間賃並の低価格で処分するか、もっと酷い場合は廃棄するしかありません。

いままでの管理の積み重ね、甘い美味しいメロン作りに向けての努力が水の泡になる瞬間です。恐ろしや…。

逆に、この萎れ症状がでて糖度不足のメロンになるのが怖いからと言って、肥料と水をたくさん与え、元気バリバリなまま収穫期を迎えると…。

これこれで、糖度不足、裂果、えぐみのある味になったりと、品質低下を招くのです。

ですので、メロン栽培に置いては終盤戦である糖度上昇期~収穫期に、いかにちょうど良い樹勢バランスをキープできるか?が、腕の見せ所なんです。

この生育ステージ管理技術でおいしさが決まる、といっても過言ではありません。

この品種が持つパフォーマンス、おいしさすべて引き出す!最高のおいしさが生まれる生育バランスをサポートするのが、メロン生産者の仕事となります。

天気予報とにらめっこしながら、つねにベストな生育管理を。これがメロン栽培のおもしろいところなのです。天気予報はハズレまくるし。

メロンの種を播いてから3ヶ月と20日間。
手間暇掛けて育ててきたメロンの果実に、生産者自らの手で傷を付けて廃棄してしまうのは、悲しいこと。

悔しいですが、それも自分の技術不足ゆえ。
(ちなみに100mのメロンハウス260株中、2株だけの萎れ症発生なので、大丈夫です)

メロン収穫後はまた緑肥栽培に土作りに励み、元気でバランス良く、病気に強いメロン栽培に取り組み、栽培技術向上に努め続けますっ

では、今日もたくさんメロンが採れました。午前中は、9月に収穫・産地直送する北海道青肉メロン『オルフェ』の整枝作業。

気温が暑くなってくる午後からは選果場に入り、お中元ギフト・贈答用メロン発送作業です。
さぁ、夏だ。メロンが旬の時期だ。ガンガンやんぞーっ❣️