緑肥『ライ麦』栽培による団粒構造発達効果について。

緑肥が土作りに良いことは皆さんもご存じですが、乾物重量の多いソルゴーを筆頭にエン麦、ヒマワリ、ベッチ、キカラシ、などなど、いろいろあって何にすれば良いか迷うところです。

目的を『団粒構造の発達』『柔らかい土作り』とするのならば、私のイチオシはライ麦です。

雪解け後、うちのメロン畑でライ麦の効果が伝わるよう撮影しました。

【メロン作付け前、耕す直前の生育状況。
ラウンドアップを散布して全体を枯らしています。
掛け残しで生き残ったライ麦を掘り返して根の状態を観察しました。】

【たった一株でも、根に付いている団粒構造の土がすごい量に。】

地上部の乾物重量はそうでもないのですが、とにかく根の量が多く、根からでる滲出液に根圏微生物群がとりつき、土が団粒化しているのがよく分かると思います。


【ちょっと大きめなライ麦の株。上部に比べ根量の多さ、根に付いている土の団粒構造化がよくわかります。
まさに、微生物が畑を耕している状態です。繰り返しますが、粘土地です(笑)】

地目は水田なので、元の土は粘土。もともとは堅いゴロゴロの土でした。それが3年ぐらいでまったく違うよい土となりました。 (緑肥以外にも土作りいろいろやっていますが、今回はライ麦の団粒化促進効果がわかる写真をアップしました)

【土にスコップを20cm刺してひっくり返しただけで、この状態。
土粒が1~5mmの団粒になっている事が分かります。
こうなると土中空気量も多く、保水力もあり、微生物多様性に満ちあふれた土となり、作物の生育が違います。

トラクターでのロータリー耕も、低速回転でもふわふわサラサラに仕上がるのでラク。燃費も極めて低燃費です。】

初期生育段階でこの根量ですから、開花期~乳熟期まで伸張させ土にすき込んだら、もっとすごい土壌化以前効果が得られる事でしょう。

【5月23日 植え付けが6月末以降の抑制栽培する作物なら、定植予定日の一ヶ月前まで、これぐらい伸ばしてもOK。根張りだけではなく、乾物重量も確保できる。この後、フレールモアで粉砕し、米糠を巻いてロータリーですき込む。その後、灌水してマルチフィルムを張りハウスを締め込む。地温が40度以上になるのでそうすることによって土中発酵処理が可能となる。】

※寺坂農園は北海道なので、秋にライ麦種まき→15cmほど生育→積雪期→融雪期→土が乾いたらすぐにすき込み、と栽培期間が短いため、写真のような大きさで緑肥栽培は終了となります。

ーーーーーーーー

【今回のポイント】 緑肥栽培だと、地上部の生育量・乾物重量を土にすき込み土壌物理性改善を狙っていきますが…(見える部分に意識がいく)。←王道でありOKです。

■ライ麦の場合、見えない地下部である根群量が多いことに注目したい。

1.ライ麦の根から分泌される養分豊富な滲出液が根圏微生物を大量にとりつかせる。

2.根圏微生物群はライ麦の毛根に窒素を初めとした栄養を提供する、共生関係の成立している量が、写真から確認できる。

3.大量の根圏微生物群が粘着物質を放出(納豆のネバネバみたいな?!)する。粘着性の高い接着剤みたいなイメージだ。それが微細な鉱物(土)をくっつけて団粒化が進んでいく。

4.1mmに満たない根に、約10mm幅で団粒構造の土が付着している。それだけ根圏微生物群が増えて土壌改善効果が高いことを示している。 地下部である土の中で、どんなプロセスで団粒化(ふわふわで軟らかい土)が生成されていくのか?まとめてみましたー。

------

この投稿があなたの幸せ豊かな農業人生に役立つよう、心から願っています(^∧^)