「社長自身がケガや病気になったとき、農業継続ができなくなるというリスクがありますよね。その対策を教えてください」

おおーっ、いい質問だ。

こんにちは。寺坂祐一です。
先週16日は本別町にある北海道立農業大学校へ。研究過程と畑作園芸経営学科の学生さんへ講義3時間ガッチリお話ししてきました。

内容はいつもの『農家が取り組むお客様と直接繋がる農業経営の実際』。皆さん真剣に聞いてくれたので、私の話にも熱が入りました(いつものことだけど)。

んで、講義終わったあとの質問タイム。
さすが、北海道の農業を担う大学校生。本気の質問が連発で答える私も必死になりました。

たくさん出た質問の中から今日は冒頭の質問を。20才ぐらいの若い男性からの質問でした。

「社長自身がケガや病気になったとき、農業継続ができなくなるというリスクがありますよね。その対策を教えてください」

今までいろんな質問に答えてきたけど、この質問は初めて!洞察に鋭さを感じます。私の答えは…

「もし、私がケガや病気で仕事が出来なくなった場合、販売部門と加工部門は専属の社員さんがいるので、直販・通販業務は継続できます」

「しかし、メロン栽培の技術だけは私にしかないので、もしそうなった場合はメロン栽培と販売は中止。協力農家さんと産地直送しているアスパラガス、トウモロコシ、秋野菜の販売を続けて事業継続することになるでしょう」

「メロン栽培をマスターした右腕・農場スタッフは現状いないので、私に万が一のことがあった場合は農業を解散します。それはしょうがないことです」

「もし年商3億レベルだと、社長がいなくても農場がまわる仕組みを作れると思いますし、そうでなければならない。ただし寺坂農園はまだそこまで大きくはなく、これからも農園規模を大きくすることは考えていません」

「難しいのが…。もしメロン栽培をマスターした右腕がいたとしたら。その人はまず独立するんですよね。栽培技術を身につけたら。それは当然のことだと思いますし」

「ですから、社長に万が一があった場合のリスク対応は、いまのところありません」

と、正直な気持ちと現状をお話ししました。
胸張って「そのリスク対応もバッチリです」って答えたかったけど(笑)。

すると、この回答をを聞いた男子学生さんは
「そうですか」
と言って宙を見上げ「はぁ~~」って大きくため息をつきました。その表情には
(なんだよ、なにも対策してないのかよ…)と顔に書いてある(^_^;)

人間の出来ていない私はイラッときましたが、まぁ、彼も若いですし、それよりもそれだけ寺坂農園の弱点を突いた良い質問だということです。

自分は自信を持ってこの方針ですすめています。妻(専務)とも『もし、社長に何かあった場合は?』しっかり話し合っていて、上記のような方向です。

もちろん、メロン栽培ができる右腕を育て給料をたくさん払い、社長に万が一あった場合のリスクに対応することが、他の社員さん従業員さんの雇用と生活を守るためにも、とても大事なことだと思っています。

ですが…。一介の農家で、事業主の万が一に備えて後継者、右腕存在を雇用している農家って…篤農家・大農家以外には少ないとみます。

私も子供が2人いますが、メロン野菜の産直農家経営はあくまでも私と妻のライフワークなので、子供たちには自分が輝く道を歩んで欲しいと願っています。

ですので、かっこ悪いですがこれ以上農園を大きくしようとは思っていなく、よりおいしいメロン・野菜作りに専念していく方針で農業を続けていきます。

でもまぁ、逆を言えば

リスクをとってメロン野菜の産直農家に挑んでいるわけですから。リスクが怖くて決断できなかったら、もっと小さく雇用もせずに農家やっているんですよね、自分。
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産直農家経営はリスクがある=『やりがい』というリターンを手に入る。
これが実感です。失敗も含めリスクがあるから誰もやらないのでライバル不在でもあります。
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あ、そういえば…。


『社長に万が一があった場合リスク』に関して、一つとっている経営方針があります。

それは、長期借入金より流動資産(キャッシュ)が多いという実質無借金経営を続けていく、ということ。

もしもの時、すべて精算して最小のダメージで農業を解散することが出来ます。農地・機械などを手放して余った資金は、社員さんの退職金にあてることもできる。

私はチキンでビビり性格なので『いかに借入金を少なくしてキャッシュを多く持つか』を大事にしており、それが出来ていれば万が一の場合のリスク回避にもなるはずです。

経営者がケガや病気になったとき、家族や社員さんにたくさんの借金を残すのイヤだし。

でも、正解は人の数だけあるので、あくまでも寺坂農園の今の方針は。ということでご理解を。

はい、今日は『寺坂農園の社長に万が一のことがあった場合のリスク回避策は?』というお話でした。

講義のあとは写真2枚目の集会所、大戦時に軍馬育成の場所だったという歴史的建造物内で研究過程の学生さんと懇親会。

そこでもいろんな質問を頂いて、いろんな農業話が出来て楽しいひとときでした。

先生も農大生さんも、本気で農業のこと、家業の農業のことを考え悩み、希望の未来を語ってくれたので、日本の農業はまだまだいけるな!と私が力を頂きました。

もし、あなたが
・将来農業に関わる仕事をしたい。
・家業の農業を継ぎたい。
・将来は農業法人に就職して活躍したい。
・農業普及員さんになって農業をもっと盛り上げていきたい。

そのような気持ちがありましたら、この北海道農業大学校をスペシャルお勧めします。
校舎も新しく施設も揃っていて農場は広大。北海道の魅力・美しさ・そこに住む人の良さを体験しまくりながら、思いっきり学べる農業大学校です。

今回ご縁を頂いた農大生の皆さん、富良野に来ることがありましたら寺坂農園にもお立ち寄りくださいね。