【寺坂農園事件ファイル#28】
おはようございます。自分の手に施されたキラッ☆キラッ☆のネイルアートに慣れてきた自分が怖い寺坂祐一です。
人は城、人は石垣、人は堀。
寺坂農園は労働集約的・雇用型農業でして、多くの人が農園で活躍してくれるおかげで、美味しい富良野メロンと野菜を全国発送できています。
んでもね…。
人は必ず間違えるんです。失敗するんです。だって人だもの。だからこそ愛おしい。
寺坂農園には4台の温水ボイラーが稼働しており、6月収穫予定の早い作型のメロン達をぬくぬくと温めている。
今回の事件。
「さぁ、13番ハウスを耕したから、温水ボイラーに通水・点火だ!10ヶ月ぶりの稼働、ちゃんと動くかな」
緊張する瞬間だ。ボイラーがちゃんと稼働しないと作業と作付け計画に狂いが出る。
ボイラーを囲っていたブルーシートを外し、電源がきているかを確認し、さぁ、水をボイラーに入れようとしたとき、循環ポンプ当たりを見るとあり得ない光景が目に入った。
うぇっ?!は、破裂してる…。ウソでしょ…。
温水循環ポンプ、鋳鉄製のラインがバッコシ破裂し、穴空いている!!😱
冬期間、中に溜まった水が凍結し膨張→破裂!というヤツだ。ついにやっちまったー!ガビーン!😭
「ちょいまて、水抜きしているはずだ」
循環ポンプの先に付いている20mmバルブを開けてみると、じょろじょろと水が出てくるし!!
(やばいっ!ボイラーの缶体は水抜いているよな?!)
ボイラー一番底に付いている水抜きバルブを開けようと手を掛けると、閉まってるし!開けたら水がドバドバでてくるしー😱
終わった…。
今期、マイナス30度超えが2回あった富良野地域。循環ポンプのみならず、配管全体+ボイラー内部に満タンに水が溜まったまま凍結、破損である。
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昨年の秋、温水ボイラー4台のうち、これだけ水抜き作業をしていないのであった。単純ミスである。
実は秋にボイラー水抜き作業をするチャンスは3回ある。
まずは、メロンを収穫し終えて温水パイプを片付けるとき。この時に配管とボイラーの水を『抜くハズだ』。
2回目は、温水ボイラーと配管に不凍液流し込み作業の時。10月になり霜が降りる頃に不凍液を流し込み、凍結破損を防ぐ。この時に水抜きを忘れていたら『気づくハズだ』。
3回目は、11月に温水ボイラーをブルーシートで冬囲いするとき。いよいよ囲ってしまうのでこの時「ちゃんと水抜いてるかな?」と、『確認するハズだ』。
寺坂農園は雇用が多い。いろんな人が作業に関わる。特に内地の人は水道管の投棄凍結破損の恐ろしさは知らなくて当然である。
よってこの3回のチャンスを、この13番ハウスのボイラーだけが奇跡的にすべてスルーされ冬囲いされ、今回の事件となってしまったのだ。
これは、すべて社長の私が悪い。
冬期凍結破損の恐ろしさを伝えていないし、どれだけ高額な修理費になるかを教えていないし、だいたいちゃんと最終チェックをしていなかった、社長が悪いのである。
「ちゃんとボイラー回り4台の全部やったかい?」
「はい、すべてやりました」
口頭だけのチェックでは事故が生まれる。『ハズ』がアブナイ。
それでも、上司である社長がちゃんとチェックしなければならないのである。上司がスタッフのミスを防ぐのだ。人は必ず間違える。自分も必ず失敗するから。
関東平野が日本一広いのも、富士山が日本一高いのも、全部社長の私が悪いのである。
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あぁ…、循環ポンプだけなら7万。これ全部交換だと50万超えコースだよ…。私はうなだれた。
売上げがまったくない、経費ばかり出ていくのが農家の春。そんなときにこの事故で50万超えの出費は痛いを通り越して、財布も農家経済も破裂!だ。
むむぅ…。更にメロンの苗も仕上がってきている。これ業者さんにお願いして総取っ替え、5日でできるかな…。中古なんて無いよな…。
いろんな考えがぐるぐる頭を巡る。しかし、メロンの生育は待ってくれない。
あっ、そうだ!
私は思い出した。むかーし(もう25年も温水ボイラーによる加温メロン栽培をしている)、こんなこともあろうかと予備の温水循環ポンプを中古で買って、たしか倉庫の奥に眠っていたはず…。
倉庫の2階の奥を探索すると…、あった!古ーい循環ポンプが!配管口径も同じ。ラッキーっ!
これに交換して、もしボイラーの缶体が破損していなければ支障なく作業が進む。
んで、交換後にボイラーに通水。よし、水漏れ無し。ボイラー点火も良好、稼働ヨシ!👍
配管の一部とバルブ一個に膨張破損があり、ちょっとの水漏れだったのでいけましたー。
あぁ…、助かったぁ。九死に一生を得た気分だよ。よかった。
現在、この13番ハウスでは2回目の富良野メロンがぬくぬく元気にスクスク育っております。6月17日頃収穫、全国へ産地直送の予定です(^^)/
【学び】
雪が降る前の片付け作業の前に『ボイラー、各種ポンプ水抜き&不凍液注入のチェックリスト』スタッフと社長のチェック欄付きを作って実行し、万全の体制で冬眠に入りましょう。
【寺坂農園事件ファイル#28】おわり。
長文お付き合いありがとうございました。
今日も富良野メロン畑の準備作業です。もう、4回目7月上旬収穫予定のハウスでの作業を進めていきます。
では今日も、どんな失敗も学びと成長に変えていき、自分と自分の周囲の人がより一層豊かになるよう、自分の能力を発揮します!
北海道・富良野からおいしいメロン・野菜を全国にお届けし、お客様に「おいしいっ」と喜んでほしい』を理念と据え、産地直送に取り組む農業を続けています。